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今月のテーマは、「さつまいも」です。
甘い香りと、ほくほくした食感が美味しいさつまいも。最近はスーパーなどの店頭で、焼きいもが販売されることが多くなってきましたね。
自宅でももちろん美味しく食べられますが、「やっぱり石焼きいもが一番おいしい!」と思う方もいるのではないでしょうか。今回は、さつまいもの栄養と、その甘さの秘密、石焼きいもが美味しい理由に迫ります。
さつまいもの歴史
さつまいもは、名前からして和風な雰囲気ですが、中国から日本に伝わった際、琉球(現在の沖縄県)から薩摩(現在の鹿児島県)へ…という流れで広がったため、薩摩の芋=さつまいもという名前になったそうです。
さつまいも自体は、メキシコを中心とする熱帯アメリカで生まれたと言われ、古くは紀元前800〜1000年ごろ、インカ帝国が栄えた中央アンデス地方で作られていたようです。その後、徐々に広がったようで、ペルー北海岸では、さつまいもをかたどった土器も発掘されています。
アメリカからコロンブスがヨーロッパへ持ち帰り、アフリカやインド、そして中国に広がり、日本には江戸時代の1つ前、安土桃山時代のころに伝来しました。さつまいもという名称は先の経緯で付けられた名前ですが、他にも中国の名前と同じく、甘藷(かんしょ)とも呼ばれていたそうです。
さつまいもの栄養
さつまいもには、甘みが強い安納芋から、焼酎になるジョイホワイトなど、多くの種類があります。どのさつまいもにも共通して含まれているのが、豊富な食物繊維、そして壊れにくいビタミンCです。
食物繊維は、水に溶ける水溶性と、溶けない不溶性の2種類があり、それぞれ役割が異なりますが、さつまいもにはこの両方が含まれています。この2つの食物繊維をバランスよく摂ることで、糖や脂質の吸収が穏やかになり、血糖値・コレステロール値の改善が見込めます。また、この食物繊維のおかげで、糖質が多い食材の中でも、GI値(※)が低くなっていますので、体に嬉しい食材です。
そしてさつまいもには、現代人が意識したい、ストレス対策にもなるビタミンCも含まれています。一般的に、ビタミンCは加熱すればするほど損失する栄養成分ですが、さつまいもに含まれるビタミンCは、加熱されて変化したでんぷんに守られるため、生の時とほぼ変わらない分量を摂ることが出来ます。焼き芋はもちろん、揚げても炒めてもほぼ変わらないので、色々な調理法で楽しむことが出来ますね。
石焼きいもがおいしい理由
さて、加熱されて変化したでんぷん、という言葉がでてきましたが、この変化を「糊化」と呼びます。糊化の糊は、文房具でおなじみの「のり」という漢字ですが、まさに糊化はのりのように変化することを指します。さつまいもの、ほくほくした中にも感じる粘りを想像すると、わかりやすいかもしれませんね。
この糊化されたでんぷんが、さつまいもの中の糖化酵素により分解されることで、さつまいもの甘みが増大します。ですがこの変化は、急激に加熱をすると十分に行われず、それほど甘みが増えません。そのため、電子レンジ加熱では、なかなか美味しく仕上がらないのです。一方、石焼きいもをはじめとした市販品は、遠赤外線などで時間をかけて加熱します。こうして時間をかけることで、変化がじっくり進み、甘みが増えていくのです。
もちろん秋の風物詩としての美味しさもありますが、こうした調理科学の視点から見ても、石焼きいもがおいしい理由に納得できますね。
おかずにも使える旬のさつまいも、ぜひ「おべんとね!っと」のお弁当で取り入れてみてください。
※GI値=食べた際に、血糖値が上昇するスピードを表したもの。高いほど血糖値が急上昇しやすく、糖尿病リスクを高めるため、食材を選ぶ目安として使う値。
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